2009年03月20日

はてのうるまのみかんのはなし

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こちら、生協で買った屋久島産「たんかん」也。

 

 ♪むかしあったくにのえいがで〜 
   いつかみたよなみちをいく〜 
    なまぬるいかぜにふかれて〜♪ byスピッツ
 


1998年、4月。
このフレーズを半ばヤケクソで繰り返しながら、
ひたすらぎこぎことママチャリを漕いでいた。
生ぬるい向かい風に向かって
日本最南端の島で。
 

結婚を半年後に控えた24歳の春。
勤めていた会社の旅行で沖縄・石垣島へやってきた。
初日は退屈な団体バスツアーだったが、2日目・3日目は各自自由行動。
他の社員さんたちは体験ダイビングやお隣の西表島ツアーへ参加する中、
私が選んだ行き先は、高速船で1時間のところにある
日本最南端の島、波照間島。


はてるま=「果て」の「うるま(さんご礁)」
私がこの最果ての離島行きを決めたのは
ガイドブックの片隅にほんの小さく載っていた、
でもその本の中で一番美しいんじゃないかというエメラルドブルーの海。
でも当時はあまり島の情報がなく、心を決めかねていたところに
たまたま前夜に石垣の街で知り合った船乗りの青年たちが
「波照間、いいところだよ」と背中を押してくれたのである。
 
 
その日は朝からうす雲がかかる空模様。
波照間行きの高速船は水面を飛ぶようにあっという間に島へ。
港へ降り、さてこれからどうするかと辺りを見回すと、
民宿の経営するレンタサイクル屋のバンが来ていて、
利用希望者は島の中心部まで乗せていくというので、これ幸いとそれに飛び乗った。


着いた民宿M荘の庭先では、そこの子供らしい男の子が人懐こく寄ってきて
首から下げた一眼レフを向けると「いぇーい」とポーズを決めてくれた。
なんだか、素朴な島そうだ。
さて借し出されたレンタサイクルは、ギヤもないただのママチャリ@少々くたびれ気味w
ペダルをぎこぎこいわせながら地図を片手に、
まずは「日本最南端の碑」を目指すことにする。
島の中心部から細い道を下りだすと、あっという間に周りは一面のサトウキビ畑。
それから舗装された島の周回道路へ出ると、同じ風景ばかりが続く単調な走りに。
おまけに空模様もなんだか怪しい。早め早めに行動した方が良さそうだ。
 
 
ようやくたどり着いた最南端の碑。
だがそこは南の楽園イメージからは程遠い、
断崖に荒々しい波が打ちつける、荒涼とした岬…
おまけに空からはぽつりぽつりと雨粒が落ちてきた。
おいおい、これじゃまるで島流しにあった気分じゃねーか orz
 
 
気を取り直し、次に目指すのはあのガイドブックにあった「ニシ浜」!
八重山で、いや沖縄で一番美しい「天国の浜」と呼ばれるほどの場所である。
正直ちとテンション下がってるけど、
ここまで来たのだからなんとしても拝んでおかねばなるまい。
先ほどの周回道路に戻り、右か左か…わ か ら んwww
文章ではうまく説明できないが、今自分のいる場所が微妙に把握できんのだ。
ええい、ままよ!違ってりゃすぐ気づくだろーさ!
…で先に結果を言えば、
私は周回道路を予定の見事逆向きに走り出してしまったのであるw
おかしいな〜ニシ浜着かないな〜、とチャリを止めてみた時には
もうかなりの距離を逆走、ニシ浜からはどんどん遠ざかっていたという始末。
このまま進めば周回道路なのだからいずれはニシ浜には着く、
だがここで戻ればそちらの方が若干距離は近い。
なら戻る方を選ぶのが得策…くwやwしwいwww


そして雨粒まじりの強い向かい風の中、
冒頭のスピッツ、となるわけである。 
…もう正直言って、この島へ来てしまったことを半分以上後悔していた。


ニシ浜へ着いた時にはもう心身ともにくたくた。
おまけにあの「天国の浜」であるはずの場所は
エメラルドグリーンどころか、空の色同様、暗く沈んだ錆色。
当然、誰一人いない…突如押し寄せる寂寥感、そして不安感。
ああ、もし万が一私がこの島で事故にでもあったり行方不明になったとしても
会社の人たちは誰一人気づいてくれないんだよな。
波照間行きのことは誰にも言ってこなかったし、ケータイも通じない(※当時は)。
急に身震いを感じて、私は自転車を押してニシ浜を後にした。


なんとか集落に戻り自転車を返却。
空腹と疲れでとりあえずひと休みしたかったのと、
帰りの船の時間までまだ余裕があったのとで
ガイドブックに載っていた、島で唯一らしい食堂へと足を向けた。
当時も今も、私はこの手の「飛び込み」というのが極めて苦手である。
ましてや観光客もろくに見当たらない島で、地元民による地元民のためのお店…
だがここは旅先、ダメで元々、当たればめっけもん!
旅の恥は掻き捨て、じゃないがそういうのが旅の醍醐味ってもんだろお前!
などとひとりでブツブツと自問自答しながら、
勇気を振り絞ってその食堂の扉をガラガラと開けたのである。


〜つづく〜

posted by Asuka at 18:47| Comment(0) | TrackBack(0) | むかし話 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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